実験の記録 Record

2024年3月11日 月曜日

「第3回わくわく!アドバンス実験講座」を開催しました!

令和6年3月10日(日)9:30~15:30 於:福井県教育総合研究所 サイエンスラボ

 

 第3回わくわく!アドバンス実験講座を行いました。この講座は、理科についてもっと深く学びたい、または実験がしたいと考えている高校生の皆さんを対象とし、科学的な思考力と実験技能の向上を目的としているものです。今回は、福井県内から10校、70名の高校生が物理・化学・生物の各講座に分かれて実験を行いました。実験の後はまとめを行い、実験の考察について発表を行いました。

 

★物理講座「誘電体中電場の解析

 講座の前半では、解析に用いるデジタルストレージオシロスコープの操作に慣れるために、基本的な電気回路の電圧測定を行いました。測定をとおして、抵抗、コイル、コンデンサーのそれぞれの電気回路中における特徴を確認することができました。また、振動回路における減衰振動の電圧変化も確認することができました。講座の後半では、同軸ケーブルに入力した高周波電気信号の様子をオシロスコープで確認し、得られた情報から次の2つについて導出しました。はじめに、電気信号の進行波の様子から、同軸ケーブル内の誘電体中を伝わる電磁波(光)の速さを導出しました。次に、電気信号の入射波と反射波を合成した様子から、同軸ケーブル内に作った電場の定在波の波長を導出しました。

 参加した生徒からは、「習ってない箇所でもわかるように説明を丁寧にされていて、わかりやすかったです。 よくわかったためとても楽しくできました。」「実験をとおして、電磁波に興味がわきました。誘電体中では真空や空気中より電磁波の速さが遅くなると初めて知りました。 」「僕はまだ物理について分からないことが多かったけど、今回の講座をとおして物理について興味を持てたし、自分の知らなかったことを知ることができて、とても嬉しかったです。」「物理は色々な分野が組み合わさってできていることが発見できてよかったです。」という感想が聞かれました。 

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★化学講座「電導度滴定の結果から考察できること」

 はじめに、電導度滴定についての基礎知識を学び、その後、実験を行いました。実験は(ⅰ)強酸と蒸留水、(ⅱ)強酸と強塩基、(ⅲ)弱酸と強塩基の3つの組合せで行いました。どの実験も操作は共通で、次の①~③を行って滴下量と電導度の関係を表すグラフを作成しました。
 ①20mLはかり取った酸の電導度を導電率計で測定し、Googleスプレッドシートに入力。
 ②①の酸に、組合せとなる液体をマイクロピペットを用いて正確に1mL滴下し、測定・入力。
 ③②を繰り返し、滴下量が合計40mLになるまで測定・入力。
 実験操作は容易ですが、マイクロピペットの先を不用意に何かに触れさせて不要なイオンを混入させたり、溶液の撹拌中に少量でもこぼしてしまったりすると、結果に大きな影響が出るため、どの生徒も細心の注意を払いながら実験を行っていました。
 実験は午前で終了し、午後は(ⅰ)~(ⅲ)の実験で作成したグラフを見ながら、それぞれ、なぜそのようなグラフになったのかを、イオンの挙動の観点から考察し、グループごとに発表を行いました。

 参加した生徒からは、「化学基礎をまだ習っていませんが、今回の講座では、今まで知らなかったことを、いろいろ知ることができて楽しかったです。化学について、もっと知りたいと思いました。」「自分たちで考察するのは難しかったけれど、講師の先生やサポートの大学生の説明が上手だったので、理解することができ、新しい学びを得ることができました。2年生になってからの研究は化学分野で行うので、今回学んだことを活かしていきたいと思いました。」という感想が聞かれました。

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★生物講座「電気泳動を用いたDNA鑑定」

 生物講座では、アガロースゲル電気泳動法を用いて、「犯行現場に残されたDNAを鑑定し、容疑者5人の中から犯人を探し出す」という課題に取り組みました。まず、実験を行う前に、DNAに関する基礎知識を学びました。その後、マイクロピペッターの使い方を色をつけた水で練習し、技能を身につけた上で試料の混合や分注などを行いました。実験では、DNAサンプルを制限酵素で処理し、アガロースゲルに注入した後に、電気泳動を行いました。DNAサンプルをアガロースゲルの穴にきれいに注入しないと失敗してしまうため、慎重に実験を行い、全ての班が、犯人を探し出すことに成功しました。最後は、「DNA鑑定や遺伝子検査のメリットやデメリット、そしてそれらとの向き合いかた」について、それぞれが考える活動を行いました。

 参加した生徒からは、「今回の講座は、自分の将来に関わりのあるものがテーマだったため参加しましたが、実際に実験できる環境は学校にないので参加してよかったです。」「ただ実験を行って終わるのではなく、医療現場など、私たちの身近なところでこの実験(DNA鑑定や遺伝子検査)が行われていることについて、メリット・デメリットを考えたので、『本当にその実験は必要なのか?』だったり『世間ではなく自分にとってはどうか?』を考えたりするきっかけになった。」「普段、学校ではできないような実験をすることができたのでとてもいい経験になりました。実験は少し難しかったけど、違う学校の人と協力して実験をすることができたので楽しかったです。」「生物分野では、技術の進歩によって生活が便利になる反面、様々な社会的・倫理的問題も発生してくると分かり、これから私達が自分に関係することとして考えていかないといけないと思った。」という感想が聞かれました。

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令和5年度の「わくわく!アドバンス実験講座」は、この第3回をもちまして全日程を終えました。令和6年度は年間2回実施する予定です。ぜひご参加ください。


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