実験の記録 Record

2026年10月19日 月曜日

R8京都大学の研究者と学ぶ「iPS細胞の研究」を行いました!

日 程:令和8年10月18日(日) 9:00~16:30
場 所:教育総合研究所 サイエンスラボ(生物)
参加者:県内高校生30名
講 師:京都大学 iPS 細胞研究所 特定講師  荒岡 利和 氏
    京都大学 iPS 細胞研究所 特定職員  三澤 和樹 氏

内 容:iPS細胞研究がわかる「幹細胞すごろく」
    細胞の観察や実験で生命科学研究の魅力を感じる!ブタの腎臓の解剖実験

    ヒトの iPS 細胞などを観察
    iPS細胞の研究者によるミニ講義
    未来の医療の作り方を考えて話し合おう!

 10月18日(日)に、京都大学の研究者と学ぶ「iPS細胞の研究」を開催しました。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)から2名の講師が来所し、直接指導していただきました。県内の高校生30名(9校)が参加し、iPS細胞の観察や再生医療に関する課題解決に向けての演習に取り組みました。プログラムは次の5つに分けて実施しました。

①基礎知識を学ぼう ~iPS細胞研究がわかる「幹細胞すごろく」~

 研究者の生活や細胞の成長過程を題材にした「幹細胞すごろく」を通して、グループのアイスブレイクと幹細胞に関する基礎知識の学習を行いました。ゲームを進めながら、多能性誘導因子や遺伝子のON・OFFの仕組みについて説明し、細胞がさまざまな器官の細胞へと分化する過程や、iPS細胞へと初期化される過程について理解を深めました。研究者ならではの出来事や専門用語に触れながら、参加した生徒たちは楽しんで学習に取り組み、「なぜ遺伝子の働きが変わるのか」「多能性とは何か」など、興味をもった内容について積極的に質問していました。

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②細胞の観察や実験で生命科学研究の魅力を感じる!~ブタの腎臓の解剖実験~

 腎臓の構造やはたらきについて学ぶ観察実験を行いました。最初に、腎臓の構造や各部位の名称、尿がつくられる仕組みについて講義で学んだ後、グループごとにブタの腎臓の解剖に取り組みました。今年は1グループに1個の腎臓を用意し、生徒たちはピンセットで血管を押さえる役やピペットで墨汁を注入する役などを分担しながら協力して実験を進めました。腎動脈への墨汁の注入は難しい作業ですが、どの班も上手に成功し、ほとんど墨汁が漏れ出ることなく腎臓内部の糸球体や血管を染色することができました。その後、腎臓を切り開いて内部構造を観察し、さらに腎皮質からプレパラートを作製して顕微鏡で観察しました。全員の生徒が墨汁で染色された糸球体を確認することができ、教科書だけでは学べない腎臓の構造とはたらきを実感しながら理解を深めていました。

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③細胞を観察しよう ~ヒト iPS 細胞などを観察する~

 講師の三澤先生が準備した標本化された4種類の細胞(ヒトiPS細胞、ヒトiPS細胞由来の神経細胞、心筋細胞、肝細胞)を、タブレット付き顕微鏡や光学顕微鏡で観察しました。生徒たちは細胞の形や大きさ、並び方などの特徴を手がかりに、どの標本が何の細胞なのかをグループで話し合いながら推理していきました。今年は見事にすべての細胞を正しく判別したグループが2グループあり、観察力の高さを発揮していました。観察後には、三澤先生からiPS細胞の特徴や他の細胞との違いについて解説していただき、生徒たちは実際の細胞を見ながら理解を深めることができました。

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④最先端を知ろう ~iPS細胞の研究者によるミニ講義~

 講師の荒岡先生による講義では、サイエンスラボにある蛍光顕微鏡を用いて、生きたiPS細胞や腎オルガノイドの観察を行いました。腎オルガノイドは立体的な構造をもつ細胞の集まりであり、その周囲にはうねうねとした尿細管が形成されていることや、体内ではそれらが整然と配置されながら分化していくことなどを教えていただきました。また、iPS細胞は再生医療への活用だけでなく、患者の細胞から作製したiPS細胞を用いて病気の状態をシャーレ上で再現し、新たな治療薬の開発につなげる研究にも利用されていることを学びました。
 さらに、研究者としての生活や研究の魅力、iPS細胞が切り開く未来の可能性についてもお話しいただきました。講義の最後には、「海外で活躍する自分を想像してほしい」「学問の積み重ねが新しい発見を生み出す」「夢を実現するために準備を怠らないこと」といったメッセージが送られ、生徒たちは最先端の研究だけでなく、研究者としての生き方や挑戦することの大切さについても学ぶ貴重な機会となりました。

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⑤未来の医療の作り方を考えて話し合おう!

 

 iPS細胞が将来の医療にどのように活用できるのかについて、グループごとにアイデアを出し合うグループワークを行いました。生徒たちは付箋を使って自由な発想で意見を出し合い、「失われた臓器を再生する医療」や「難病を治療する医療」など、さまざまなアイデアを考えました。その後、グループで一つのテーマを選び、その実現のためにはどのような研究が必要か、どのような課題が考えられるかについて話し合い、ホワイトボードに整理して発表を行いました。
 発表後には荒岡先生から、それぞれのアイデアに対して研究の現状や実現に向けた課題について解説をしていただきました。生徒たちは、未来の医療を形にするためには科学的な研究だけでなく、技術開発や安全性の確認など様々な課題を乗り越える必要があることを学びました。また、荒岡先生からは「高校生ならではの自由な発想が、新しい可能性や発見につながる」というお話もいただき、生徒たちは最先端の生命科学と社会とのつながりについて理解を深めていました。

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 <生徒たちの声>

「以前からiPS細胞について興味があった為、今回の講座でより知識が深まりました。これまで治療が難しかった病気でも、失われた細胞や組織の機能を回復できる可能性があることに魅力を感じました。でも、移植した細胞が拒絶反応を起こすかもしれないなどの課題もあるのではないかと感じました。今後、こうした問題が解決されれば、臓器移植を待つ患者さんや難病に苦しむ人々を救う新しい治療法として、医療を発展させていくのではないかと思いました。」

「今まで少し授業で習ったりニュースで耳にしたりしていただけのiPS細胞について今までより遥かに深く考え、知ることができた時間だったと思います。実際に研究されている方の貴重な講演を受けることができ大変光栄でしたし、今日の学びを家族や友人に共有して、その説明の段階で自分の中で生まれた新しい疑問などについても考え、興味を持っていきたいです。」

「今までなんとなくしか理解できていなかったiPS細胞について、すごろくやグループでの話し合いなどを通して1日楽しみながら、これからの医療や科学の発展におけるiPS細胞の重要性を感じることができました。講義を受ける前は、iPS細胞はがんの治療などに利用できる便利な細胞だとしか考えていなかったけれど、今回の講義を受けiPS細胞とは便利さが大きいゆえに倫理的な問題やこれから解決すべき様々な課題があることがわかりました。命を扱う現場では、感情と倫理の板挟みになるようなことが多々あってAIでなく人間だからこそぶつかる壁にはこれからも向き合っていく必要があるなと思いました。」


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