2021年10月4日 月曜日
9月25日(土)、26日(日)、10月2日(土)の3日間の日程で東京大学の研究者に学ぶ講座「超小型人工衛星開発講座」を開催しました。9月25日、26日は、東京大学の講師からの講義や演習はオンラインでの実施となりましたが、10月2日は東京大学から3名来所していただき、直接指導していただきました。県内の高校生18名(5校)が参加し、人工衛星の開発につながる「缶サット」の製作に取り組みました。
1日目
中須賀教授から「超小型人工衛星と缶サット」について講義していただきました。中須賀教授は具体的な事例を挙げながら、宇宙開発と超小型人工衛星の意義をわかりやすくお話くださいました。また、このような開発の過程で起きる様々な問題にたいして、どのようにして解決していくのか、その進め方についてもお話くださいました。続いて、講師の方から今回作る缶サットの「ミッション」を発表していただきました。ミッションは、①落下時間を15秒にすること、②落下中に探査機に見立てた消しゴムを分離すること、③分離した消しゴムから缶サットが遠くに離れること、④着地時に缶サットが自立すること、の4つでした。 今回は3人1組のチームを組み、6チームでミッション達成度を競いました。チームごとにどのような缶サットを作るかを協議し、缶サットの製作を行いました。受講生はパラシュートの大きさを工夫したり、消しゴムを分離させる機構を考えたりしました。東京大学の講師の方々にオンラインでアドバイスをもらいながら、金具、針金、スチロールブロック、磁石、風船など様々な道具を使ってオリジナリティのある缶サット製作に取り組みました。どの班も役割分担を行い、一人ひとりが責任を持って作業を行っていました。
2日目
1日目に引き続き、缶サットの製作を行いました。
その後、製作した缶サットをドローンに積んで上空50mから落下させるテストフライトを行いました。テストフライトでは、パラシュートが開かなかったり、缶サットが自立しなかったり、消しゴムが分離されないなど、机上の計算や室内での実験ではわからなかった課題が次々と見つかりました。そのたびに受講生は、試行錯誤を重ね、ミッションを達成するために、時間ギリギリまで課題解決に向けて一生懸命取り組んでいました。最後にブリーフィングを行い、2日間での進捗状況や、各チームで見つかった新たな課題を共有し、まとめを行いました。
3日目
缶サットコンテストを行いました。
コンテスト前の調整時間で、中須賀教授や東大の学生の方々に直接アドバイスをいただき、微調整を繰り返していました。コンテストでは、針金を使ってパラシュートが開く際の減速を利用して消しゴムを分離させたり、自立するために缶の底面にバネを取り付けたりするなど様々なアイディアが見られました。特に、優勝したチームは缶のサイズを小さくし、着地時に脚が開いて確実に自立する機構を作り、安定したフライトを実現させ、満点に近い得点をとりました。コンテスト後は振り返りを行いました。各チームがそれぞれの機構や失敗の原因などをわかりやすく説明していました。新たな課題を見つけ、さらなる改善策を考えているチームも見られました。 参加した受講生からは、「トライアンドエラーを繰り返すことの大切さを学ぶことができ、非常に勉強になりました。」「工作が難しかったですが、とても意義のある講義を受けることができ、今後の参考になりました。特に、時間、人、リスク、お金についての大切さを知れたので、このことを今後に活かしたいと思います。ありがとうございました。」「宇宙工学についての知識を深めることができ、より一層宇宙工学科へ進学したいという気持ちが強くなりました。」 などの感想が得られました。
東京大学大学院の教授で、超小型人工衛星の分野を切り拓いた先駆者である中須賀真一先生やその研究室の学生と関わることで、受講生は、研究に対する姿勢や考え方を学ぶことができました。また、宇宙開発への興味関心を高めることができました。教育総合研究所サイエンスラボでは、高校生の缶サット全国大会である「缶サット甲子園」を目指し、缶サットHighSchool「電子系講座」「構造系講座」「ふくい缶サットグランプリ」を実施予定です。高校生の皆様の参加お待ちしております。