2025年3月15日 土曜日
令和7年3月9日(日)9:00~16:30 於:福井県教育総合研究所 サイエンスラボ
第2回わくわく!アドバンス実験講座を行いました。この講座は、理科についてもっと深く学びたい、または実験がしたいと考えている高校生の皆さんを対象とし、科学的な思考力と実験技能の向上を目的としているものです。今回は、福井県内から8校、35名の高校生が物理・化学・生物の各講座に分かれて実験を行いました。実験の後はまとめを行い、実験の考察について発表を行いました。
★化学講座「電導度滴定の結果から考察できること」
はじめに、電導度滴定についての基礎知識を学び、その後、実験を行いました。実験は(ⅰ)強酸と蒸留水、(ⅱ)強酸と強塩基、(ⅲ)弱酸と強塩基の3つの組合せで行いました。どの実験も操作は共通で、次の①~③を行って滴下量と電導度の関係を表すグラフを作成しました。
①20mLはかり取った酸の電導度を導電率計で測定し、Googleスプレッドシートに入力。
②①の酸に、組合せとなる液体をマイクロピペットを用いて正確に1mL滴下し、測定・入力。
③②を繰り返し、滴下量が合計40mLになるまで測定・入力。
実験操作は容易ですが、マイクロピペットの先を不用意に何かに触れさせて不要なイオンを混入させたり、溶液の撹拌中に少量でもこぼしてしまったりすると、結果に大きな影響が出るため、どの生徒も細心の注意を払いながら実験を行っていました。
実験は午前で終了し、午後は(ⅰ)~(ⅲ)の実験で作成したグラフを見ながら、それぞれ、なぜそのようなグラフになったのかを、イオンの挙動の観点から考察し、グループごとに発表を行いました。
参加した生徒からは、「今回の講座を受けて、とても頭を使うこと、考えること、授業では感じられないワクワク感など、様々なことを学べるとてもいい機会だと思った。この機会を活かして受験勉強に励んでいきたいと思う。」「結果を分析していくうちに、今までの知識の総合力で理解することができることがわかり、楽しかった。今日の講座で、化学を楽しく感じることが出来たので、積極的に自分から関わって行きたいと思う。」「化学について興味を持つことを目的にこの講座に参加しましたが、化学基礎を学んでいない自分にも丁寧に説明してもらえたり、アドバイスをしてくださったりなど、真摯に対応してもらえて化学への興味を強く持つことができました。」「班の仲間と意見を共有したり、先生のアドバイスなどが、考えをより深くするきっかけとなり、良かったです。これからの授業などで活かせると良いと思います。」「考察をした後、どのようにすれば聞き手に正しく情報が伝わるのか考えながら説明を練っていくのはとても楽しかったです。そして、とても難しかったです。実験を繰り返し、考察をする力は、これから自分にもっと必要だと気づきました。」という感想が聞かれました。
★生物講座「電気泳動を用いたDNA鑑定」
生物講座では、アガロースゲル電気泳動法を用いて、「犯行現場に残されたDNAを鑑定し、容疑者5人の中から犯人を探し出す」という課題に取り組みました。また、併せてブロッコリーのDNAを抽出し、電気泳動法でブロッコリーのDNA分析を行いました。まず、実験を行う前に、DNAに関する基礎知識を学びました。その後、マイクロピペッターの使い方を色をつけた水で練習し、技能を身につけた上で試料の混合や分注などを行いました。実験では、DNAサンプルを制限酵素で処理し、アガロースゲルに注入した後に、電気泳動を行いました。DNAサンプルをアガロースゲルの穴にきれいに注入しないと失敗してしまうため、慎重に実験を行い、ほとんどの班が、犯人を探し出すことに成功しました。最後は、「DNA鑑定や遺伝子検査のメリットやデメリット、そしてそれらとの向き合いかた」について、それぞれが考えるグループワークを行いました。
参加した生徒からは、「学校ではできない興味深い実験をすることができるだけではなく、いろいろな技術の発展の必要性などについて深く考え議論することができとても楽しかったです。」「普段関わることがない人や、自分と同じ分野に興味を持つ人と実験したり、考えて話したりするのが楽しかった。実験の結果が思うように出なかったとき、何が原因で次どうするのか、という考え方も少し学べて、探究活動の参考になった。」「DNA検査は難しく、短時間でできるものだとは思っていませんでしたが、今回の実験をとおして、意外と簡単にできるものであると分かりました。今回の自分なりに良かったと思う点は、実験に用いた液体がそれぞれどのような効果を持つか理解しながら、実験に挑めたところです。また、倫理的な面からDNA鑑定や遺伝子検査について考えて、そのメリットとデメリットについても深く考えることができました。」という感想が聞かれました。
令和6年度の「わくわく!アドバンス実験講座」は、この第2回をもちまして全日程を終えました。令和7年度は年間2回実施する予定です。ぜひご参加ください。