実験の記録 Record

2022年8月9日 火曜日

R4 東京大学の研究者に学ぶ講座「超小型人工衛星開発講座」

日 程:令和4年7月30日(土)、31日(日)、8月6日(土) 9:00~16:30
場 所:教育総合研究所 サイエンスラボ
参加者:県内高校生15名
講 師:
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻   
    教授     中須賀 真一 氏 
    修士課程2年 牛 佳成   氏
    修士課程1年 望月 友貴  氏
    学部  4年 瀬戸 翔一  氏

内 容:1日目 人工衛星・缶サットの構造に関する講義、缶サット製作
    2日目 缶サット製作、テストフライト
    3日目 フライトコンテスト、成果発表プレゼン

 7月30日(土)、31日(日)、8月6日(土)の3日間にわたる日程で、東京大学の研究者に学ぶ講座「超小型人工衛星開発講座」を開催しました。東京大学中須賀研究室から4名の方に来所していただき、直接指導していただきました。県内の高校生15名(5校)が参加し、人工衛星開発の第一歩である「缶サット」の製作に取り組みました。

1日目

 中須賀教授から「超小型人工衛星と缶サット」について講義していただきました。中須賀教授は、具体的な事例を挙げながら宇宙開発の大切さ、超小型人工衛星開発の意義についてわかりやすくお話しくださいました。また、開発の過程で起きる様々な問題に対してどのようにして解決していくのかということや、マネジメントしていく上で重要とされているコスト、時間、人員、リスクについてお話しくださいました。続いて、今回作る缶サットの「ミッション」を発表していただきました。ミッションは、
 ①落下時間を10秒以内にすること
 ②落下中に缶サット本体を水平方向に回転させること
 ③着地時に缶サットが直立すること
の3つでした。 今回は3人1組のチームを組み、5チームでミッション達成度を競いました。チームごとにどのような缶サットを作るかを協議し、缶サットの製作を行いました。受講生はパラシュートの大きさや形を工夫したり、直立するための機構を考えたりしました。講師の方々にアドバイスを受けながら、金具、針金、スチロールブロック、金属プレート、粘土など様々な材料を使ってミッション達成に向けた缶サットの製作に取り組みました。どの班も役割分担を行い、一人ひとりが責任を持って作業を行っていました。

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2日目

 1日目に引き続き、缶サットの製作を行いました。
 試作の缶サットが完成したチームは、グラウンドに出て缶サットをドローンに積んで上空50mから落下させるテストフライトを行いました。テストフライトでは、パラシュートが開かなかったり、回転しなかったり、着地で直立しなかったりと、机上の計算や室内での実験ではわからなかった課題が次々と見つかりました。そのたびに受講生は、試行錯誤を重ね、ミッションを達成するために、時間ギリギリまで課題解決に向けて一生懸命改良に取り組んでいました。晴天にも恵まれ、何度もグラウンドでのテストフライトを繰り返すことができ、「Try and Error」から多くのことを学んでいました。

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3日目

 3日目は、これまでの成果を競う、フライトコンテストを行いました。
 決められた3つのミッションの達成度を点数化し、2回のフライトで得点を競いました。前日の豪雨での交通状況悪化により、敦賀高校の受講生はオンラインで参加しました。
 受講生たちは、中須賀教授や東大の学生の方々から直接アドバイスをいただき、コンテストの直前まで微調整を繰り返していました。コンテストでは、パラシュートの裏側にスポンジを付け、パラシュートが受ける空気の流れを変えることで回転させる機構を作ったチームや、缶の部分に扇風機の羽のようなものを付けて回転させる機構を作ったチームが見られました。着地時の直立に関しては、下部を重くした起き上がりこぼしを作ったチームや、缶を球体の中に入れることで直立確率100%を実現したチームもありました。
 コンテスト終了後は、Googleスライドを使って成果発表会を行い、各チームがそれぞれの機構について成功や失敗の原因などをわかりやすく説明していました。新たな課題を見つけ、さらなる改善策を考えているチームも見られました。敦賀高校もオンラインで発表を行いました。

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 参加した受講生からは、「Try and Error をたくさん繰り返して、良いものを作り上げていく楽しさを学ぶことができてよかったです。また、リスクマネジメントを考えて、もう一つ予備を作っておいたため、余裕を持ってフライトに挑むことができ、リスクマネジメントの大切さも学ぶことができてよかったです。」「結果はとても悔しいですが、はじめは考えずに作っていたところから、皆で考えて作るようになり、どんどんどんどん楽しくなりました!また挑戦したいです!!!」「 缶サットを人生で初めて作って、僕は衛星に対する考え方が変わりました。今まで僕は人工衛星のことを遠い存在だと思っていましたが、このサイエンスラボでの講座をとおして、衛星というのは身近にあるもので、誰でも製作に携われるものだということがわかりました。」などの感想が得られました。

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 東京大学大学院の教授で、超小型人工衛星の分野を切り拓いた先駆者である中須賀真一教授やその研究室の学生と関わることで、受講生は、研究に対する姿勢や考え方を学ぶことができました。また、宇宙開発への興味関心を高めることができました。教育総合研究所サイエンスラボでは、高校生の缶サット全国大会である「缶サット甲子園」を目指し、缶サット High School 「缶サット電子系講座」「缶サット構造系講座」「ふくい缶サットグランプリ」も開催しています。高校生のみなさんの参加をお待ちしています。


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