2022年10月23日 日曜日
10月23日(日)に、京都大学の研究者に学ぶ講座「iPS細胞講座」を開催しました。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)から2名の講師に来所していただき、直接指導していただきました。県内の高校生41名(7校)が参加し、iPS細胞の観察や再生医療に関する課題解決に向けての演習に取り組みました。プログラムは次の3つに分けて実施しました。
①基礎知識を学ぼう ~ゲームボードで「発生」「分化」「細胞」 について学ぶ
研究者の生活と細胞の成長過程を元にしたすごろくゲームをとおし、グループのアイスブレイクと幹細胞に関する基礎知識の学習を併せて行いました。ゲームの中では研究者ならではの出来事が起きたり、専門用語が出てきたりするので、楽しみながら研究者の生活の様子を知ることができ、さらにすべての細胞は内胚葉、外胚葉、中胚葉から様々な器官の細胞に分化していくことなどの基礎知識を学ぶこともできました。参加した生徒は、「多能性誘導因子」「コンタミ」など、初めて聞く言葉の意味や働きについて質問していました。
②細胞を観察しよう ~ヒトの iPS 細胞などを観察する~
細胞観察に先立ち観察の練習として、不規則な図形を言葉で表したり、多くの細胞から一つの細胞を見分けたりする活動を行いました。次に講師の方が用意した4つの細胞(ヒトのiPS細胞、ヒトiPS細胞由来の神経細胞、ヒトiPS細胞由来の心臓の細胞、ヒトiPS細胞由来の肝臓の細胞)をタブレット付き顕微鏡で観察しました。それぞれの細胞の特徴を言葉で表し、比較することで4つの細胞がそれぞれどの細胞なのかを推論する演習を行いました。参加した生徒は、細胞の集まり具合や形と器官のはたらきを関係づけて話し合いながら答えを考えていました。また、サイエンスラボに設置してある「蛍光顕微鏡」を用いて、新しい方法で作られたiPS細胞を観察しました。
③考えよう ~グループワーク「答えの出ていない課題に挑戦」~
iPS細胞は「何にでもなれる」細胞であると言われますが、どのようにしたら本当に「何にでもなれる(体のあらゆる細胞に分化できる)」と証明できるだろうか?という課題に挑戦しました。答えのない課題でしたがディスカッションすることに意義があり、参加した生徒たちはこれまで学んだ内容を生かして様々な意見を出し合っていました。最後には、全体を通して質問会を行いました。iPS細胞の実用化や、研究の内容についてなど積極的に質問していました。
参加した生徒からは、「幹細胞研究のすごろくや実験など、とてもわかりやすい説明のおかげでiPS細胞への理解を深めることができました。学んだ知識などを使ってグループ内で考察する作業がとても楽しかったです。将来iPS細胞に関する研究をやりたいという気持ちが今回の講座をとおしてとても大きくなりました。」「私は小学生の頃から医師を目指しており、最近は臨床に進むか、研究に進むか迷っていました。その参考になればいいと思って今回参加しまた。また、私は医学の中でも神経系の病気に興味があり、iPS細胞は神経系の病気の治療に関して可能性が大きいものであると知っていたのでiPS細胞にも興味があり参加しました。結果的には、iPS細胞の知識を深めることができ、他校の生徒との交流ができ、参加できて良かったです。ありがとうございました。」などの感想が聞かれました。